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木材の寿命
考えたこともないと思いますが 日本の住宅は古くから主に木造が主流になっていますね。 組積造(石造)ではないのは、日本が地震国だからです。 地震のきわめて少ない国では組積造が主流になっているところもたくさんあります。 アメリカやイギリスは組積造が主流です。 もちろん現在は建設技術の進化によって鉄骨造、コンクリート(RC)造の住宅も多く見かけます。
今回のテーマは木造にフォーカスし、それが一体何年もつのか? (寿命は何年なのか)ということを考えたいと思います。 (日本における木造を考えます)
まず、なぜ日本では木造が主流なのか、というと以下の理由になります。
①地震が多いため 組積造はくずれやすい。
②湿潤な気候のため木材が豊富にあり、使いやすかった。 後年は国の政策として木材を使用するようになった。
明治維新のころ、外国から組積造の手法が日本に入ってきたのですが 取り入れた建物はすぐに地震で倒壊してしまうので、すぐに消えてしまいました。 面白いことに内部を木造で仕上げて外部を組積造で建築する手法は当時ありましたが・・・余談です。
現存する日本最古の木造建築は法隆寺 およそ1400年前の木造建築です。
法隆寺へ実際に行ったことがある方も多いと思いますが 私も2,3年前に行きまして現地の係員の方に「ここの木は平安時代の木だよ」などと教えていただきました。 腐ったりした部分は交換を繰り返しているようですが一部は当時の木がまだ残っていることに歴史のロマンを感じずにはいられません。 つまり、木材は腐らないことがとても重要です。 腐ってしまうと木材の強度がなくなり、建物の自重や風圧、地震力に対抗することができなくなります。
木材は湿潤状態が続くと腐ります。 いかにドライの状態に保っているかによって寿命は左右されます。
いまのところ法隆寺を例にとると木材の種類によっては1400年程度はもつ、と言えるのかもしませんね。
ヒノキ 成材 (最初はこんなに美しい木材でも くさると 下の写真のように・・)
腐ってしまった柱
私たちの住宅で考えると 水漏れによる木材の腐れ、は厳禁です。 また、木はやせていきます。 やせることに加えて地震などの力が加わり、接合部分が緩みます。 (最近は金物の技術が進んでいるのであまり心配しなくてもよさそうですが)とにかく、漏水などを見つけた時はすぐに対処しなければなりません。 もしかしたら1400年もつかもしれない木材が濡れたことで半年で寿命がくるかもしれないのです。
ちなみに木材が腐る、理由は腐朽菌が繁殖する環境が整ってしまうからです。 腐朽菌は 栄養・温度・水分・空気 の4成分がそろうことで繁殖し、木材を腐らせます。 私たちの環境で空気、温度は自然要因なのでどうしようもありません。 栄養とはつまり、木材のことですので 私たちができる腐れを防ぐ方法は水分なのです。 水分を遠ざけることで木材の寿命はのびると言ってもよいのではないでしょうか。